2020年3月度 衛生委員会からのお知らせ

従業員 各位


日頃のご精勤に心より感謝申し上げます。
3月度の衛生委員会の資料になります。

3月度のテーマは「たばこについて」です。

皆様に置かれましては、是非とも健康に留意いただき、
業務に努めていただきたいと考えております。

ご安全に!! 

令和2年3月度

衛生委員会資料

産業医 大瀬琢也3

たばこと健康を考えましょう

  • たばこが血管にダメージをもたらす

たばこのリスクというと、気管支炎、ぜんそくなどの肺の病気や、多くのがん、胎児への影響があることなどが知られています。他にも大きな影響を受けるのが「血管」です。たばこには、発がん性物質をはじめとする多数の有害物質が含まれていますが、血管に最もダメージをもたらすのは、血管を収縮させるニコチンです。たばこを吸うと急激な血管の収縮によって血圧の上昇をもたらし、動脈硬化が進むことで、脳卒中や心筋梗塞などの心・血管病のリスクが増大します。

 

喫煙習慣がある人は、ない人にくらべて、狭心症や心筋梗塞になるリスクが23倍高く、心・血管病による突然死の起こるリスクは510倍も高くなることが報告されています。また、他人のたばこの煙を吸う「受動喫煙」が原因で、日本では年間15千人が死亡していると推計され、その死因は脳卒中・虚血性心疾患の心・血管病が約8割を占めると推察されています。

 

この機会に、たばこのリスクを正しく認識し、ご自身のため、そして大切なご家族のために、「いつかやめよう」を「“今こそ”やめよう」に変えて、禁煙にチャレンジしてみませんか?

 

  • 禁煙すればさまざまな病気を予防できる

たばこは心・血管病やがんなどの大きな原因になりますが、逆に考えると、たばこをやめることができれば、さまざまな病気を予防することが可能なのです。禁煙はスタートした直後から、着実に健康改善効果をもたらし、10年以上禁煙すると、たばこを吸わない人と同じ健康状態に近づくと考えられています。

受動喫煙対策により、路上喫煙禁止や公共の空間における禁煙が進み、この10年間、喫煙者は減少し続けています。その一方で、無煙たばこや電子たばこなどの新たなたばこ製品が登場しています。これらのたばこ製品にも、発がん性物質やその他の有害物質が含まれ、健康への影響が懸念されています。

 

  • 禁煙治療ってどんなもの?

20064月より禁煙治療に健康保険が適用されるようになりました。施設基準を満たした施設で、患者基準を満たす患者さんに対し、12週間に5回の禁煙治療に健康保険が適用されます。禁煙治療では貼り薬や飲み薬を使って、ご自分でされるよりもずっとラクにそして確実に禁煙をすることが可能です。

 

20064月から禁煙治療の保険診療「ニコチン依存症管理料」の算定が開始されました。喫煙を単なる「習慣」ではなく依存症と診断し、「疾患」と捉え、20195月までに16700を超える医療機関で禁煙治療の保険診療が実施されるようになりました。また、20164月にニコチン依存症管理料の対象患者が拡大され、35歳未満の方に対しては、喫煙本数や喫煙年数によらず保険適用となりました。ここでは楽に確実に禁煙できる「禁煙治療」について解説します。

  1. 禁煙治療を受けることのできる方

以下の要件をすべて満たした方のみ、12週間に5回の禁煙治療に健康保険が適用されます。

  1. ニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS)5点以上、ニコチン依存症と診断された方
  2. 35歳以上の場合、ブリンクマン指数(=1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上の方
  3. 直ちに禁煙することを希望されている方
  4. 「禁煙治療のための標準手順書」に則った禁煙治療について説明を受け、当該治療を受けることを文書により同意された方

 

  1. 保険診療の流れ

健康保険を使った禁煙治療は、12週間に5回のプログラムです。

 

 

  1. 禁煙治療の内容

健康保険を使った禁煙治療では、以下のような内容の治療を受けることができます。

  1. ニコチン依存度の判定(問診などによってどれだけニコチンに依存しているか判定します)
  2. 呼気一酸化炭素濃度測定(吐く息がたばこによってどのくらい汚れているか検査します)
  3. ニコチン依存度に合わせた処方(状況によって貼り薬や飲み薬を処方します)
  4. 禁煙に対するアドバイス(禁煙を楽にできるためのコツをお伝えしたり、禁煙に対する想いや不安を聴取します。施設によっては専任の看護師がカウンセリングを行います)

 

  1. 禁煙治療を受診するためには

まずは禁煙治療を実施している施設を探しましょう。禁煙治療は時間がかかることが多いため、完全予約制の施設が多くなっています。電話で確認をし、予約をとるほうがよいでしょう。